プロセス / ノウハウ 2話



今日は「企画を作る」ことを書いてみます。

企画は、”企画立案”や”プロジェクト”というとたいそうに聞こえますが、要は「何をするか」です。

企画は、芸術やアートと違って0から1を生み出すものではありません。

人や物や場所、専門性または大衆性、そして時代感など、すでに今ある「素材」を見定めていきながら「企画を繰る」のです。ですので、実現可能でないといけないという制約があります。その制約の中でどれだけ面白い事ができるか、に尽きます。


自分の事になりますが、僕は自身の能力の中ではこの企画を作る力が長けていると思います。
ネイティブの大阪人は、「おもしろい」という言葉を、「格好良い」「イケてる」に限りなく近い意味合いで使います。これは一種のスラングのようで、大阪生まれで大阪に居る人の方が通じる価値観です。
僕は大阪で生まれて、仕事も遊びも大阪でしていたので、この「おもしろい」の価値観を仕事上の企画に融合させる事に、20代の頃必死になっていました。それも、編集者やライターからではなく、先輩のフォトグラファーと仕事をする中で学べたので、今思えば不思議です。


企画と素材は一心同体です。
よく、その人が思う理想の企画を立てたのに、素材やコンテンツが埋まっていかない、打ち合わせの場でもその後も「うーん...」となるケースを目にしますが、それは別の媒体で見た「理想的な企画」をそのまま使ってしまっている事が多いはずです。その媒体の人たちは、ちゃんと自分たち独自の動き方で素材を集めてオリジナルの企画を立てているのです。
ここで、「サンプリング」か「パクリ」の違いも出てきます。サンプリングは元ネタに対する敬意がありますが、パクリには愛情がありません。

反対に素材が揃っていると、企画は必ず立ちます。
普段からアンテナを張っておき、琴線にふれた、印象に残る、心のひだにさわる、という事や物を集めていると、素材は「小さなネタ」になっていき、自分なりにネタの並び方や出し方をイメージしていると、あるとき頭の中で点と点が繋がったかのように1つの企画になります。
この瞬間は、「できたぞ!」という独特の感覚があるので、その人自身がいい企画なのだとわかります。


馴れてくると、これを意図的に持ってこれるようになるので、次は企画の質とボリューム感を意識するのが良いと思います。そうすると、「何をするか」だけだったのが、「どんな存在」で、どのような「質感」「雰囲気」までを手で触る様に作れて、それを空中のどこに置くのか(どの時代にだれに向けたものなのか)、という感覚の形になってきます。

僕はその形を打ち合わせでなるべく丁寧に伝えるようにしています。
そうすると、仕事をする相手は企画の修正をせずにすみ、一緒に次の段階の事に行けるからです
また、よい企画の何割か以上は、数年後に見た時に、ちゃんといいものとして残ります。


理想は、攻めていて、しっくり腑に落ちる形。


1つのプロセスの話◇





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